■内容紹介
本書は、「これから学ぶコンピュータ科学入門」のハードウェア編、ソフトウェア編の姉妹書であり続編である。コンピュータ科学の基礎となるアルゴリズムについて初心者向けに解説している。姉妹書同様、基本情報技術者試験の既往問題を吟味し、受験者の参考となるよう配慮した。
アルゴリズムの記述法としては流れ図(フローチャート)が最も有名である。だが、流れ図には多くの批判が出ている。ほとんど制約がないために、プログラムを作成する際に場当たり的に記述すると理解しにくいプログラムが出来上がってしまうという危険性を持っている。このように流れ図はもともと、プログラムの作成には向いていない。しかしながら、出来上がったプログラムの説明用としてならけっこう使えるものである。
また、最近では、基本情報技術者試験で、「擬似言語」なるものが使われるようになってきている。擬似言語では、簡単な図形を用いてアルゴリズムの構造を明確に表わせる。どのプログラム言語にも依存せずにアルゴリズムを記述できるので、知っておくと便利なものである。
以上から本書は、アルゴリズムの記述法として、流れ図と擬似言語の両方を採用することにした。本書を読むのに、前もって何らかの知識は必要ない。まったくの初心者でもアルゴリズムの基本が理解できるように配慮した。(「はじめに」を要約)
■著者紹介
鑰山 徹(かぎやま・とおる)
昭和51年、東京工業大学理学部情報科学科卒
千葉経済大学経済学部経済学科教授
主要著書:Prolog プログラミング入門(1987)、C言語とアルゴリズム演習(1990)、C言語とプログラミング(1991)、C言語と関数定義(1994)、新CASLプログラミング入門(1995)、続・C言語とアルゴリズム演習(1999)、ソフトウェアのための基礎数学(2002)、Javaとアルゴリズム演習(2003)、これから学ぶ文科系の基礎数学(2003)、これから学ぶコンピュータ科学入門・ハードウェア編(2005)、これから学ぶコンピュータ科学入門・ソフトウェア編(2005) 以上、工学図書刊
CASLで学ぶコンピュータの仕組み(1996)、Cによるプログラム表現法(1996) 以上、共立出版刊
■目 次
第Ⅰ部 導 入
第1章 アルゴリズムの基礎
アルゴリズムとその表現 アルゴリズムの構造 データ型と算術式 変数と代入文
順次構造の例 既往問題 第1章のまとめ 復習問題1
第2章 条件式
論理型 関係演算子 論理演算子 論理型変数と代入文 第2章のまとめ 復習問題2
第3章 選択構造
選択構造の基本 選択構造を用いたアルゴリズムの記述 第3章のまとめ 復習問題3
第4章 反復構造
反復構造の基本形 反復構造を用いたアルゴリズムの記述 既往問題 第4章のまとめ
復習問題4
第Ⅱ部 発 展
第5章 配列処理
配列の基本 配列を用いたアルゴリズムの例 既往問題 第5章のまとめ 復習問題5
第6章 関数
関数の概念 関数定義の基本 関数の実行 関数定義の例 既往問題 第6章のまとめ
復習問題6
第7章 データ構造
構造体とポインタ リスト構造 木構造 スタックとキュー 既往問題 第7章のまとめ
復習問題7
第Ⅲ部 応 用
第8章 データ探索
順次探索 2分探索 ハッシュ法 既往問題 第8章のまとめ 復習問題8
第9章 整列
バブルソート 選択ソート 挿入ソート その他のソーティング 既往問題 第9章のまとめ
復習問題9
第10章 その他のアルゴリズム
数値計算 文字処理 既往問題 第10章のまとめ 復習問題10
補講 アルゴリズムと計算例
補1.時間計算量
補2.既往問題
問の答え
まとめの解答
復習問題の解答
索引
参考文献