■内容紹介
建築防災の専門家が見た数々の事件・事故・災害の深層。
1980年代頃までは、災害が起こっても、それは防災対策が現実に追いついていないことの現れで、研究が進み態勢が強化されれば、災害の再発は防止できると単純に信じられていた。
しかし、その後に起こった阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件、9.11テロ、薬害エイズ事件、狂牛病問題などが示しているのは、このような素朴な防災の“進歩史観”の崩壊である。
「防災安全のために、21世紀の社会が進めていかなければならないのは、というより、情報洪水の環境下で新たに進めていかざるを得ないのは、社会に開放された安全維持の方法とその理念の育成を通じて、専門性の強化にまといつく閉鎖性を打開することではないだろうか。さまざまな分野の安全の専門家同士の交流や生活者の視点の導入など、アマチュアリズムの導入も、そのための重要な課題であろう。本書に紹介した災害の対応行動や社会的活動には、その萌芽や出発点になりそうなものも少なくない」(あとがきより)
(社)日本図書館協会選定図書