本書は、JICC出版局(現・宝島社)から1992年に『図説 発明狂の時代』として刊行後、10年近くにわたって品切れ・絶版となっていたものです。しかしながら、古書店でも入手が困難で、再版を待ち望む読者の声が訳者らのもとに数多く寄せられておりました。
内容は、19世紀後半の当時を代表する一流の科学雑誌から、発明に関する興味深いレポートを図版とともに引いています。早すぎたがゆえに実現しなかった大発明(テレビ、光通信、動く歩道……)や、奇想天外な珍発明(空中自転車、死体の金属メッキ、水冷式毛布……)が、続々と登場してきます。銅版画を主とした精緻な挿絵は、テレビの科学番組やポスター等でいまも珍重されています。
また、意訳をまじえて読みやすく翻訳し、風刺も付け加えた訳文が、本書をいっそう面白くしています。
読んでも眺めても楽しい「稀代の奇書」(訳者)復活です。
(社)日本図書館協会選定図書
■訳者紹介
1942年、横浜に生まれ鹿児島で育つ。東京大学大学院博士課程修了。位相幾何学、基礎論専攻。東大教官を経てフリーランスとなり、数理哲学や科学理論関係の著述に携わるかたわら、東京芸術大学大学院美術教育研究科客員講師を務める。1997年、「佐分利谷の奇遇」で第二回奥の細道文学賞受賞後、文芸作家活動に入る。近著には『星闇の旅路』(自由国民社)、『宇宙の不思議がわかる本』(三笠書房)など。asahi.com(朝日新聞社のホームページ)のコラム欄Asahi Internet Casterに「マセマティック放浪記」を連載中(http://www.asahi.com/column/aic/)。