機械材料工学

■内容紹介
（1）本書は大学機械工学系学部学生の材料工学教科書として最適である。
（2）材料学を機械工学の中での方法論のひとつと位置づけた。
（3）材料の微視的構造、状態図、熱処理などの金属学・材料工学の基礎部分（第2章～第4章）と、機械工学分野に必要な材料の強度特性とその判断・評価法（第5章、第6章）、および材料選択に必要な各種実用材料に関する基礎事項（第7章～）とを系統的に結びつけた。
（4）一部、学部としてはやや高度な部分があるが、これらを適宜省略すれば、 少ない単位数で、機械材料の基礎から応用までを学ぶことができる。
（5）高分子材料（第9章）やセラミックス（第10章）についても、機械工学分野では軽視されがちな基礎的な考え方を重視した。
（6）第11章では複合材料について、第12章では形状記憶合金、水素吸蔵合金その他の先端材料についても概説した。
（7）多くの図書を参照しながら、理解しやすい記述法、数値の意味を「実感」できる単位の表現など、随所に著者ら独自の視点を加えた。
（8）図や表および写真を的確に多数採用し、本文の理解に役立てるようにした。
（9）12章を除く各章の練習問題は、技術者には国際コミュニケーション能力が強く要求されており、国際技術者資格等への対応を考え、すべて英語での出題とした。
（野口　徹）

■目　　次
○第１章 機械材料総論
はじめに－材料と文明、社会／材料の目的と機能／材料の分類／材料の製造－鉄鋼を例として／材料の加工法と材料特性／【練習問題】
○第２章 材料の微視構造
原子構造と結合力／結晶構造／格子定数、原子半径と密度／ミラー指数／結晶分析、エックス線回析／格子欠陥／結晶構造、結晶粒と材料の性質／【練習問題】
○第３章 合金とその組織
合金による組織と性質の変化／合金の形態／相律／固溶系合金とその状態図／共晶系の状態図／固相で部分的に溶け合う合金の状態図／３成分系合金の状態図／状態図と合金の性質／【練習問題】
○第４章 熱処理の基礎
凝固と凝固組織／拡散／状態図と冷却速度／析出と共析変態／熱処理／【練習問題】
○第５章 材料強度の基礎
応力－ひずみ曲線／結晶すべりと塑性変形／結晶の理論せん断強度／転移によるすべり変形／金属の変形挙動と転位／双晶変形／材料の破壊／ぜい性破壊とじん性／切欠強度／金属のへき開強度／グリフィスの理論／金属の強化方法／【練習問題】
○第６章 材料試験
強度評価と試験条件／単位および有効数字／引張試験／圧縮試験／曲げ試験／せん断試験／ねじり試験／硬さ試験／衝撃試験／破壊じん性試験／疲労および疲労試験／高温強度およびクリープ試験／摩耗および摩耗試験／材料欠陥と非破壊検査／【練習問題】
○第７章　鉄鋼材料
鉄鋼材料とは／－炭素系状態図と鉄鋼の組織／鋼の熱処理／構造用鋼・炭素鋼／低合金鋼／鋳鉄と鍛鉄／特殊用途鋼／ステンレス鋼／耐摩耗高マンガン鋼／超高張力鋼／鋳鉄／【練習問題】
○第８章　非鉄金属材料
アルミニウム合金／マグネシウム、ベリリウムおよびリチウム合金／銅合金／チタン合金／ニッケルおよびコバルト合金／錫、鉛、亜鉛合金／その他の非鉄特殊用途合金／【練習問題】
○第９章　高分子材料
高分子材料の構造／高分子材料の一般的分類／高分子材料の機械的特性／各種の高分子材料／高分子材料の成形加工法／【練習問題】
○第10章 セラミックス材料
セラミックスの構造／セラミックスの機械的性質／強度のばらつきの取扱い／各種のセラミックス／セラミックスの製法／【練習問題】
○第11章　複合材料
複合材料の種類と基礎的特性／代表的な強化繊維／繊維強化複合材料とその特性／粒子分散複合材料／積層複合材料／Iｎ-situ複合材料／【練習問題】
○第12章　機能性構造材料
形状記憶合金／アモルファス合金／水素吸蔵合金／その他の機能性構造材料／【練習問題】
○巻末資料：
元素の周期律表（長周期型）／おもな金属元素の物理的性質／換算表／引張試験片