■内容紹介
土質工学の父・テルツアギーが提唱した「観測施工」の思想を基礎に、総合的な建設情報を利用して「情報化施工」の方法を示す。
「情報化施工とは建設工学の中で未解明な分野を解決するために始まり、今ではコンピュータ・通信ネットワークさらにソフトウエアいわゆるITと呼ばれる技術分野の進歩に支えられ、建設情報を総合的に利用して、合理的なプロジェクトマネジメント・建設企業経営・建設事業計画を可能にするジャンルに成長した。
情報化施工を述べた本には、数式を使い説明したものが多い。本書は建設工学に知識を持たない人々にも理解されやすいように平易な文章で、できるだけ数式を減らして書いたものである。おそらく、これまでにこのような本は出版されていないと思う。」――著者まえがきより
■著者紹介
鈴木明人(すずき・あけと)
早稲田大学客員教授
工学博士、技術士、土木学会特別上級技術者
1941年生まれ。1965年、早稲田大学第一理工学部資源工学科卒業。同年、大成建設㈱入社。横浜支店・高松支店瀬戸大橋工事・インドネシアでの海外建設等勤務を経て、1985年、技術研究所情報化施工研究室室長、1987年、生産技術開発部情報化施工開発室室長、1995年、土木技術部部長、1997年、㈱大成情報システム取締役、2003年、同・顧問。
1999年より早稲田大学客員教授。
■目 次
第1章 情報化施工の歴史
1.1 わが国の建設の歴史
1.2 情報化施工のスタート
第2章 建設情報とその入手方法
2.1 各種建設構造物のライフサイクル
2.2 建設情報とは
2.3 建設情報の収集と利用
2.4 建設情報の入手方法
自然情報の入手方法
地盤情報の入手方法
地下の調査
第3章 観測施工から情報化施工へ
3.1 建設施工とその問題点
土と岩の物性
わが国の建設施工の特徴
複雑な地質
3.2 工事における情報化施工
技術確立の背景
観測施工
工事管理の自動化システム
知識ベース
データベース
3.3 情報の統合化に向けて
リアルタイムモニタリングシステム
情報の統合化
第4章 土を対象にした情報化施工
4.1 山留めとその問題点
山留め設計法
見かけの土圧を利用する方法
実際の土圧を利用する方法
4.2 山留め計測
計測管理
日常管理
4.3 山留め情報化施工
山留め情報化施工の検討
解析システムの紹介
4.4 山留め情報化施工の成果
逆解析
山留め情報化施工の成果とその将来
第5章 岩を対象にした情報化施工
5.1 トンネルと地質調査
トンネル掘削の目的
トンネル設計と地質
NATMトンネル工法
地質調査
5.2 設計手法
標準支保パターンの適用
類似条件での設計の適用
解析手法の適用
5.3 トンネル情報化施工システム
トンネル計測システム
計測項目
計測データのまとめ方
フィードバックとトンネルデータベース
5.4 トンネル情報化施工の成果
地山特性曲線
地山特性曲線と支保工
第6章 遠隔モニタリング管理
6.1 遠隔モニタリング管理とその問題点
6.2 可視化方法と解決策
対象工事
モニタリング要領
6.3 遠隔モニタリング計画
施工状況管理
切盛土の安定管理
法面安定管理
盛土安定管理
環境管理
現地計測データのモニタリング
遠隔モニタリングシステムの構成
システム構成と伝達図
施工状況報告フロー
6.4 遠隔モニタリング管理の適用結果
第7章 環境モニタリング
7.1 水環境の調査法と問題点
地下水調査方法
地下水調査の問題点
7.2 水環境モニタリング
地表観測計画
地表部観測
坑内観測
坑内での湧水量測定
切羽地質観察
7.3 環境モニタリングデータ管理・表示システム
データ管理・表示システム
観測データ管理のための予測解析
線形フィルター法
タンクモデル
水収支解析
7.4 環境モニタリングの成果
線形フィルター法およびタンクモデル
水収支解析
水環境モニタリングの今後
第8章 情報化施工から国土建設に向けて
8.1 防災情報の取得
自然災害
地震
火山による被害
地滑りによる被害
洪水
8.2 防災情報ネットワーク
8.3 もうひとつの安全に向けて
日本経済復活論
日本海情報ハイウェイ
第9章 情報化マネジメント
9.1 組織
9.2 CALS/ECの活動
9.3 情報インフラ整備の拡大
9.4 標準化の進展
CI-NET
建設ICカード
地理情報システムGIS
9.5 企業内情報
建設プロセスと企業の関わり
プロジェクト指向情報化施工
組織指向統合情報化施工